転造(てんぞう)加工とは、高い圧力を加えて鉄やステンレスの形状を変化させる塑性加工の一種で、 主にネジの成形に利用される鉄やステンレスの加工方法です。
単純にねじ山状のものを鉄やステンレス等の丸棒に高い 圧力で押し付けても、いびつな形状になり、 ネジのように円筒状で360度均等にねじ山が できません。そこで、螺旋状の山の付いた ネジのような太い丸棒(転造ダイス)を2~3個 回転させながら鉄やステンレス等の丸棒に対して高い圧力で 押し付けて行くと、丸棒もダイスの回転方向と 逆方向に回転しながら少しずつ均等に ダイスの形状に変形していきます。
同じネジを作る加工方法としては、旋盤による 切削加工がありますが、転造には、加工硬化による 強度の向上や切りくず等無駄な部分が出ないという メリットがあるため、市販品のような量産では 転造加工で作られるのが一般的です。また、その加工の性質から、切削ネジでは 元の丸棒の径=ネジ山の径となりますが、転造ネジだと、丸棒の径<ネジ山の径 (一般に胴細と表現)となる特徴があります。
鍛造加工とは、高い圧力を加えて鉄やステンレスの形状を変化させる塑性加工の一種で、
形状を目的のものに変化させるのと同時に強度を高める鉄やステンレスの加工方法です。
平たくいうと、刀鍛冶が日本刀を作るとき、熱した鉄をハンマーで叩いて
形状を変化させ、同時に強度も上げていますが、それと同じものです。
これは、鉄やステンレスを熱して鍛造するので熱間鍛造と呼ばれ、逆に常温で鍛造することを冷間鍛造と呼びます。
また、別の観点から、鍛造用金型を用いる量産向きの型鍛造とハンマー等で成形する少量向きの自由鍛造があります。
ですので、刀鍛冶が行っているのは、熱間の自由鍛造といえます。
高い圧力をかけて形状を変化させるという意味ではプレス加工と同じですが、
プレス加工は加工品の形状から材料の形状が分かる(車のボディーなど)のに対し、鍛造加工では、
体積を変えることなく鉄やステンレス材料の原型をとどめないくらいにダイナミックに形状を変更させます(ギアなど)。
または、プレス加工では通常積極的に鉄やステンレス材料の厚みを変えないのに対し、
鍛造加工では積極的に鉄やステンレス材料の厚みを変えるという点ではないでしょうか。
ヘッダー(フォーマー)加工とは、高い圧力を加えて鉄やステンレスの形状を変化させる塑性加工の一種で、
ネジのアタマのようなものを成形する鉄やステンレスの加工方法です。
一つの製品を作るのに、3工程以上かけて成形するものをフォーマー、2工程以下で成形するものを
ヘッダーと言いますが、同じ加工なので、両者ともヘッダーという言い方もします。
また、冷間圧造という言い方もします。
転造と同じく、同じ形状のものを切削加工で製造できますが、切削加工と比較して「作業が早い」 「ロスが少ない」「強度の向上が図れる」といったメリットと、「金型が必要」 「多品種小ロットの生産には不向き」「加工できる形状が絞られる」といったデメリットもあります。